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何処に行こうかなんて考えてなくて
何を持って行こうか
唯、其れだけだった
「…坊ちゃん、本気で出て行くおつもりなのですか?」
「…嘘なんか言ってどうする。てか坊ちゃんて呼ぶなって言っただろ?俺はもう17だ」
背後で声がしても
俺は驚かない
こいつが部屋に勝手に入ってくるのは、いつもの事
「坊ちゃん」
楽しそうに俺を呼ぶから
何だか腹立たしくて
「…っ莫迦にするなよ、執事の癖に!」
纏めていた荷物を
男に投げ付けた
「あー…折角まとめた荷物がバラバラですよ?」
言いながら屈んで
俺の代わりに纏め始める
「…黒川、執事なら止めるのが普通じゃないのか?」
下方の黒川を見据え
呆れて其れ以上の言葉が出ない
「浅間家の人間の言い付けは守らなければなりません…主人の言い付けです」
笑顔を浮かべて立ち上がり
纏めた荷物を差し出された
「おめでたい奴…」
後には、引けなくて
荷物を受け取り肩に掛ける
「何か不都合な事がありましたら、何時でもお電話下さいね?いってらっしゃいませ…」
家出なのにな…
何だか、拍子抜け
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