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「平和、ですな…」
誰も居ない屋上
遥か下方のグランドでは
俺のクラスが
体育の授業中
俺は出入り口の裏に背中を預けて
のんびりと
煙草を吹かす
「…未成年の癖に煙草かよ?」
背後から掛かった声に
驚きはしたけれど
こんな時間に此処に来る奴なんて
同じ輩に決まっている
ゆっくりと紫煙を吐き出してから
声の主を見遣る
「…一本吸う?誰か知らないけど」
目の前には
綺麗な黒髪の生徒
今時のサラサラヘアって奴?
「あー…じゃあ一本くれ。共犯になってやんよ」
男は俺の隣に腰掛け
差し出した白筒を取る
「火ぃ、くれよ」
風の抵抗を避けるように
掌で囲いを作り、火を差し出す
「…あ、うめぇー…」
「これ新作なんだ。コンビニで売ってた」
「俺も買おっかなー」
二人で吹かした煙草の煙は
青空に消えていった
遠くでは
クラスの連中の、掛け声
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