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「あ…ごめ…家の奴かと、思ってたから…」
「…無事なら、良かった」
初めての道だから
心配してくれたのだろう
「無理矢理、家に連れ帰されたのかと思った…」
目の前に屈む彼は
困ったように笑いながら、俺の手を握る
「心配しすぎだよ…でも、ありがと」
過保護すぎる彼の手を握り返し
思わず、笑ってしまった
「…ねぇ蓮?」
「ん…?」
未だに不安そうな彼が顔を上げる
「キスしてみよっか」
「なっ…圭吾‥?」
いきなりの提案に
蓮は動揺する
「…いきなり、どうした?」
落ち着く為だろうか
深い呼吸をついてから
彼は俺の隣に座る
「蓮の不安が、少しでもなくなるようにさ…」
貴方なら
喜んでくれると
思っていたんだ
「蓮…?」
何で、そんな顔をするの?
「…バーカ。自分を安売りすんな」
困り顔で、笑わないでよ
そんな言葉、欲しくない
「お前が俺を好きになった時に、してくれたら嬉しいよ」
つくづく
彼は不思議な人だ
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