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俺は何を怒ってるんだろう
蓮が本気じゃなくたって
俺が怒る権利はない
だって
俺は、彼を好きなのか解らないんだから
「…‥矛盾してるよね」
エレベーターは一階に着く
さっきまで
あんなにお天気だったのに
腹が立つ位の、大雨
如何しようかと悩んでいたら、後ろの箱扉が閉まる
このままだと蓮に追い付かれてしまう
「しゃーない…行くか」
宛てなんかなくて
でも、戻りたくなんかなくて
雨の中を
ひたすら、走った
雨が冷たくて
痛くて、腹が立って
何が何だか解らない感情が胸を締め付けて
「っ畜生…だっせー‥」
涙が、出て来る
走るのも、歩くのも
好きも嫌いも
親父も、黒川も
「めんどくさ…今の俺、マジ笑える」
考えたくもないんだ
何処かも分からない民家の裏路地
車がやっと一台通れる位
俺は壁に背中を預け
其の儘ずるずると崩れ落ちる
隣には電信柱があって
其れに身体を預けると
急に、雨が止んだ
不思議に思い顔を上げると
「…大丈夫?」
黒い傘をさした
サラリーマンだった
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