‥変えて‥

26/27
前へ
/1470ページ
次へ
「…圭吾」 名前を呼ばれただけで 背中が、撥ねてしまう 涙なのか雨なのか分からなくて 拭った所で 雨は止まないし、同じ事 「な…に‥」 強まる雨の所為で 上手く顔を上げられない 蓮の温かい両手が 俺の頬を包む 「…俺の事、好きか?」 核心をついた質問 「わか…な、いっ‥」 真っ直ぐに見つめられて 隠せない、本音 「け、ど…蓮の言葉に一喜一憂するんだ…其れが出来るのは…蓮だけ…」 込み上げる涙 「一緒だと楽しくて…貴方が居ないと、寂しい…」 芽吹き始める、感情 「俺、は…きっと、蓮の事が好き…」 気付いた気持ちに 嘘はない 「――っ、圭吾…」 泣きそうなのは彼の方で 何だか、愛しさを覚えたから 「好きだよ、蓮…」 俺の方から ゆっくりと、唇を重ねた 耳障りな雨の音さえ 俺達には聞こえなかった
/1470ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3306人が本棚に入れています
本棚に追加