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「っと、そろそろ出勤だ…じゃあ俺行くから部屋の物は自由に使えな?」
「ん、サンキュ…」
慌ただしく消えていくシンジを見送り、煙草を揉み消す
彼は同じクラスだったけれど
突然、辞めてしまった
理由を聞けば
「俺の求める場所じゃねぇし、第一女の子いないじゃん!」
だそうだ。
相変わらずマイペースで
偶に、羨ましくなる
彼の居なくなった部屋は
やけに静かで
でも、娯楽放送を見る気分でもなくて
「…ヤバイ、暇で死にそ」
立ち上がり
携帯を畳んでポケットに放り込む
今日から俺は自由だ
脳裏に浮かんだ言葉が
アドレナリンを生み出す
取り敢えず
静まり返る部屋には居たくなくて
「お、いらっしゃい…今日は一人?珍しいね」
いつも仲間と行く
バーに向かった
此処のマスターは
話が分かる人だ
その辺りの汚い大人とは違って
ちゃんと、俺達の話を聞いてくれる
其れで、間違いがあれば
その時に叱ってくれる
頭ごなしに怒る親父とは違って
家とは違って
此処は
薄暗くて、心地良い空間
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