‥日常‥

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「…はい」 通話ボタンを押して ベランダに出る 「こんな時間まで、夜更かしはいけませんよ…?」 雨は、止まなくて 硝子戸を閉めて、其れに背中を預ける 「夜中に電話してくるお前に言われたくない」 時折跳ねる水が 俺の足元を濡らす 「…今、どちらに?」 「ダチの家。もう眠いから切っていい?」 溜息をつくと 白く変化して、消える 「其れは失礼致しました…また、お電話致しますね?お休みなさい…坊ちゃん」 「だから坊ちゃんてっ」 ――ツー、ツー‥… 途中で切られて 何だか腑に落ちない こんな不謹慎な使用人がいて良いのだろうか 「…今に始まった事じゃないけどさ」 独り言を言いながら 雨から逃れるように、部屋に戻る 「…寒い…」 けれど 部屋の中は暖かくて、直ぐ眠くなる 蓮の部屋には茶色の絨毯が引いてあって とても歩き心地が良く、ふわふわしてる 其の感触に誘われて 「ちょっと、だけ…」 其の儘 じゅうたんの上で、意識を手放した
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