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「どうするの?この人…」
遠くで、誰かの声がする
「もう閉店なんだけどねー。疲れてるみたいだしもう少し寝させてやって?」
今のは、マスターの声だ
「ん…‥」
おそらく、店は閉店を迎えたのだろう
そして
いつの間にか眠りに堕ちていたみたいだ
「大丈夫か?ほら、水飲め」
顔を上げると
身体中が痛かった
長い時間
眠りに堕ちていた証拠
「あー‥ありがと」
グラスを受け取ると
氷が崩れる音がする
其れを響かせながら
中身を一気に飲み干す
「飲み過ぎる位、ヤな事あった?」
聞き慣れない、声
頭がぼんやりしていて
何処からか分からなくて
「こっちだよ、こっち」
カウンターを指で叩く音に誘われて真横を見ると
俺の隣には
見知らぬ人が座っていた
服装からして
店のバイトだろう
此処には長く通っているのに
初めて見る顔だった
綺麗な栗色の髪
いかにも今時の
遊んでそうな外見
「もう一杯飲む?」
だけど
とても優しい顔で笑うから
つい、魅入ってしまった
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