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「ほらほら、もう戸締まりするから帰れ」
いつの間にか
着替えを終えたマスターが出て来る
静まり返る店内
真っ暗になったボックス席
薄暗く光るカウンター
「じゃあマスター…圭吾は俺が送るね?」
俺の返答も聞きもせずに
蓮は着替えに消えてゆく
彼が消えた事を確認し
マスターの方を見る
「…あんな奴居た?全然見覚えないんだけど」
椅子から立ち上がり
戸締まりをする彼の背中に声を掛ける
「お前が気付いてないだけだろ?似たような連中が集まってくる訳だし」
そうなのかな
なのに、俺の事は知ってるのはマスターの科白に当て嵌まらない
考えた所で
俺に答えは出せないけれど
「準備オッケー。じゃあマスター、お先に失礼します」
「おう、圭吾のこと頼むな?」
蓮は少し笑ってから、頷いた
店の扉を開けると
地上に繋がる階段がある
上を見上げると
朝日が、差し込んでいた
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