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俺はその時、自覚もなく笑った。
声を上げてとかではなく、自然に顔がほころんだ。
・・・・・嬉しかったんだ。
俺は死ねる。
もう我慢する必要はない。
これであの親に逆らえる。
俺は彼女を抱き締めた。
下心があったというわけでもなく、衝動的にした。
「ありがとう。」
多少震えた声でいうと、彼女は驚いたようだった。
「ありがとう。俺はずっと死にたかったんだ。」
抱き締めたまま、俺はそう呟き彼女から離れるとにっこり笑った。
彼女は予想通りとても驚いた顔をしていた。
俺はにっこりと微笑み、もう一度礼を言うと彼女に背を向けその場を立ち去った。
こんなに嬉しいのは生まれて初めてだった。
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