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内の学校も全国大会には行くけれど、この数は半端じゃない。なにせ、指で数え切れない程あるんだから。
少し、羨ましい。出来れば僕の所属する美術部も日の目を見たいと思った。
掲示板から目を離すと、校舎の歴史を書いた看板が目に付いた。
花壇に突き刺さって板に、墨で連ねる文章は相当な年月を感じさせる。
文章体は古文だ。板はいつから其処にあるのか分からない。
僕は文字を流し読む。
どうやら、昔、この地一帯が森で、何かが封印されていたという伝説を書き記した物らしい。
僕の住むこの街にはあちらこちらに伝説が眠る。そのほか、神様が眠る社がある等、現実派に言わせると白けた視線を浴びそうな話まである。
だから、この立て札に別に驚く必要は無いのだけれど、僕が知りたいのはいつから草だらけの花壇に突き刺さっていたのかだった。
現代。31***年。宇宙コロニーが存在する時代に、この古ぼけた看板は余りにもミスマッチなんだ。
僕の髪を風が揺らす。いつの間にか、暮れた空が不思議な程、気味悪く歪んでいた。
そろそろ帰り時なのかも知れない。僕は立て札に背を向けて歩きだそうとする。
背筋に悪寒が走る。七不思議や心霊現象の話をしている様な感覚に全身が震えた。
そう、第六感ってやつだと思う。
異様に生臭い風が僕を通り過ぎていく。
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