一章の2 五月

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「は? 昔?」  聞き返した。目前の存在もさながらに、一言一言が謎めいている。一夜で理解する事は出来そうに無い。 「しっかし、昔はもうちっとは凛々しい女やったのにな。どこで遺伝子間違ったのか」 「全然、意味が分からないんだけど。神様だって言うならそれなりの証拠を見せて貰おうかしら」 「そうやな。なにをすれば良い?」  なんとはなしに言った事に、神様とやらは聞いてきた。それならばと白羽を指差して言う。 「白羽と銀矢って奴に起きたこれまでのことを、私に見せなさい」 「って、五月さん。そんなことしてなんになるのさ」  俯いて悩んでいた白羽がいきなり抗議して来る。だから、私は言ってやる。 「神様じゃなければ、そんなことは出来ないでしょう? それに、銀矢に起きた意味不明の事柄も気にしてたのよ。それから、白羽がなんで、これを見つけたかも聞くよりは見せて貰った方がはやいでしょう」 「そんなんでええのか。そんなら容易い――まあ、一日一善や。毎回は使わんからな頼るなや」 「へえ。毎回使えないの。それは不便な話ね」 「当たり前や。そんなんしたら謎がなくなってしまう。謎がなくなった世界は面白味もなんもないと思うんよ」
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