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「は? 昔?」
聞き返した。目前の存在もさながらに、一言一言が謎めいている。一夜で理解する事は出来そうに無い。
「しっかし、昔はもうちっとは凛々しい女やったのにな。どこで遺伝子間違ったのか」
「全然、意味が分からないんだけど。神様だって言うならそれなりの証拠を見せて貰おうかしら」
「そうやな。なにをすれば良い?」
なんとはなしに言った事に、神様とやらは聞いてきた。それならばと白羽を指差して言う。
「白羽と銀矢って奴に起きたこれまでのことを、私に見せなさい」
「って、五月さん。そんなことしてなんになるのさ」
俯いて悩んでいた白羽がいきなり抗議して来る。だから、私は言ってやる。
「神様じゃなければ、そんなことは出来ないでしょう? それに、銀矢に起きた意味不明の事柄も気にしてたのよ。それから、白羽がなんで、これを見つけたかも聞くよりは見せて貰った方がはやいでしょう」
「そんなんでええのか。そんなら容易い――まあ、一日一善や。毎回は使わんからな頼るなや」
「へえ。毎回使えないの。それは不便な話ね」
「当たり前や。そんなんしたら謎がなくなってしまう。謎がなくなった世界は面白味もなんもないと思うんよ」
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