一章の2 五月

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 学校。名門高校の看板に懐かしさがよぎる。良く、この高校と部活の大会で鉢合わせた。今も、その栄光は消えていないと知り、どこかで、焼き餅を妬く自分に気づく。 「そうだよ。あの子とこの学校ですれ違ったんだ。明日、聞いてみるよ。何で銀ちゃんが殺されかけた場所にいたか――後、銀ちゃんと一緒にいた彼女のこととかさ」  白羽が、そんな私の事など知りもせずに言った。一応、制したが、無理なことは明白だ。目を輝かせて、現場に居た高校生と話す切欠を模索する白羽に嘆息する。 「まあ、気にはなるけど、簡単に答えてくれる状況では無いわね。偶々、通りかかって目撃したと言う説もあるから」  一通り光景を映し出したバーボンを拭い、にへらにへらと笑う狐を睨む。 「何か知っているわね。何を知っているのかしら」 「ああっと。そいつはまだ、知らん方が身の為や」  掌を返した狐が、身体を寸法を一回り小さくして白羽の頭へ身軽に移動する。狐は、私を知ると言うが満更嘘でも無いようだ。聞いたことに話すことを渋る狐を問い質す。 「何故。どうして。どんな理由で?」  三等身から二等身以下になった狐を摘む。暴れもせずに、狐が細い眼差しをこちらに向けた。
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