一章の3 小雪

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「なにかって? ヤバい橋でも渡ったの?」 「話では、薬の取引現場を目撃したらしい。口封じってやつ」 「薬、ね。規制が引かれてる割に手にするのは簡単なのよね。ヤらないけど」  北斗の聞いた話だと、それは、私の意識が消えていた晩のことらしい。  ただ、詳しい日にちまでは教えてはくれなかった。  一体、どの晩の話なのか理解しないままで話は終りを告げる。 「明日は、学校は行かないから」 「俺もさぼる。湖吾と珠希も心配だ。紅葉はどうする?」 「警察に任せよう――それで、輝美は死んだの?」  わかりきったことを訊いていた。答えなど本当は望んでいないのに。 「今は、帰ろう」  北斗が歩き出したあとを、私も歩く。  闇に、桜が舞い散った。
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