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「なにかって? ヤバい橋でも渡ったの?」
「話では、薬の取引現場を目撃したらしい。口封じってやつ」
「薬、ね。規制が引かれてる割に手にするのは簡単なのよね。ヤらないけど」
北斗の聞いた話だと、それは、私の意識が消えていた晩のことらしい。
ただ、詳しい日にちまでは教えてはくれなかった。
一体、どの晩の話なのか理解しないままで話は終りを告げる。
「明日は、学校は行かないから」
「俺もさぼる。湖吾と珠希も心配だ。紅葉はどうする?」
「警察に任せよう――それで、輝美は死んだの?」
わかりきったことを訊いていた。答えなど本当は望んでいないのに。
「今は、帰ろう」
北斗が歩き出したあとを、私も歩く。
闇に、桜が舞い散った。
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