一章の4 美作

5/10
前へ
/320ページ
次へ
「はよう保護せんと大変なことになりよると、占い師から言われとります」 「占い師さんとは、白夜の神主さんの知り合いか」 「そうです。そうです。白夜の神主はんの古くからのご友人です。えらい有名な方で、テレビにもよう出ておる方です。確か、御名前が、楠木亜弓と言わはりましたか」 「楠木亜弓、また、このご時世に古めかしい名前だね。それで、春日の一族が何処にいるのかはまだ分からないの?」  車が大きく左に曲がる。 「いえ、手掛かりをやっと掴んで、五月にお手伝い願おうと連絡したんです」 「本当か、五月?」  隣に座る五月が頷いた。 「そう、シナにも話を聞いて貰おうと思っていたところに偶然、連絡が届いたのよ。それで、車を出して貰ったというわけ」 「成る程、それで、大変なことと言うのは、どんなことだ?」 「また、えげつない世界が繰り返されるいうんです」
/320ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加