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『ここは…』
あたりを見回すが
誰もいない
ドームの中は
幻想的なオレンジの光が
グラデーションをしている
『三浦榊くん…
目を覚ましましたね?』
人がいないのに
どこからか声が聞こえる
でも不思議と
怖さはなかった。
『あぁ、でも…ここは?
たしか落合と噴水に飛び込んで…』
『ここは…君達でいう
天国へ行く道の待合室だ』
『天国…』
やっぱり僕は
溺れて死んだんだ…
まだやりたりない事が
たくさんあるのに…
『落合七瀬も隣の待合室で待ってるよ。いやぁ2人ともそんなに“三浦榊”と“落合七瀬”の人形が似合うなんて思わなかったよ』
『人形…?』
僕は拳を握る右手を見た
自分の12年間
使っている体は
ただの人形だったのか?
あの時3針縫った
頭の傷も
確かに痛かった
『まだ榊くんは思い出せないかい?』
『はい…
それどころか不快です』
『ハハハ、おかしいやつだ!!ハハハハハ!!!』
高らかに笑われ
榊はイラッとした
『なんなんですか?アトラルとか人形とか。僕は普通の中学1年生で三浦榊だ!』
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