宿命

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宿命

平和だった 旦那がいて…… 頭領がいて…… 俺がいて…… 満たされていく 少しずつゆっくりと だけど…… 俺様に幸せなんか ありえなかったんだ 佐助は屋根でぼんやりと空を眺めていた。 過去を語って後悔した。 悲しそうな火焔の表情が、 今でもはっきりと思い出せる。 「どうしたんだろ、俺様……」 しばらくすると、魔界の人間がやってきた。 丁寧にぺこりと頭を下げるが、 佐助の表情からは殺意が感じられた。 「佐助様……魔王様がお待ちです。 すぐに魔王城へお戻りください。」 「魔王……って……」 佐助はかなり動揺していた。 魔王は自分の目の前で死んだ。 その魔王が自分を呼んでいる。 いてもたってもいられなくなった。 「旦那!」 慌てて向かったのは火焔の部屋。 そこでは火焔が桜を見ていた。 「どうしたのだ?佐助……。 そのように高まるとは珍しい。」 「魔王が俺様を呼んでるらしいんだ。 生きてたんだ、魔王が! 俺様、会いに行ってくる!」 「そうか……。寂しくなるな。」 「大丈夫大丈夫!俺様は一生、 旦那に仕えるつもりだから。 旦那への恩は計り知れないからな。」 にっこりと微笑み、佐助は言った。 火焔に見送られ、使い魔を掴み、 魔界へと飛んでいく。 今の佐助は、希望に満ち溢れていた。
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