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まずは何を伝えようか。
自分が深く後悔していたこと、
ずっと待っていたこと、
新しくできた主人のこと、
その主人が情けなくて、
それでも仕えていたくて……。
気がつくと佐助は火焔を考えていた。
魔王に話そうとしていることは、
全て火焔についてなのである。
以前はそんなことなかった。
「変わったな……俺様……」
自分が変わったことも伝えよう。
今の彼に、疑うことはできなかった。
「魔王の旦那!」
謁見の間につくなり、佐助は叫んだ。
だが、そこには魔王の姿はなかった。
いるのは、見慣れた一部の幹部。
嫌な予感が、頭をよぎった。
「まさか……」
「疑うことを知らんか。
流石は人間。愚かなものだ。
忘れたのか?佐助。
我らが魔王は、貴様が殺した。
あの方はもう既に死んでいる。
貴様をよんだのは我だ。
あの邪魔な人間を始末するのに
貴様は邪魔だからな。
邪魔者に邪魔者が仕えるとは、
じつに面白いことだ。」
魔王城に笑い声が木霊する。
佐助は早く帰ろうとしたが、
はぐれ悪魔に何度も襲われた。
「邪魔だ!魔界の時間は長いんだ。
早くしねぇと、旦那が……!」
もう……失いたくないんだ……
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