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「うわ~何だよこの段ボール!!」
結局片付けに挫折し、段ボールは部屋に散らばったままだった。
「中々時間なかったんだよ~まぁ座って座って♪お茶飲む??」
「う、うん。もらおっかな。」
ちはるはご機嫌でキッチンへと行く。1Kの部屋だったがキッチンと部屋は別れていた。
(なんか、奥さんみたいv)
いや~んなどと一人ではしゃぎながらお湯を沸かす…が……
「あれっ!?湯飲みどこだっけ…お茶もどこいったの!?けんじ~~!!泣」
「はいはい。」
けんじが甘やかしてきたせいでちはるは今じゃしっかりダメ女。そんなちはるをけんじは愛おしく想うのだが……。
「ほら、ちはるも飲も。」
ふ~っと、ようやく落ち着いてけんじは部屋を見渡す。
「なんか殺風景な部屋だなぁ。寂しくなかった??」
「まだ二日しか経ってないんだよ~寂しいわけないじゃん♪」
強がってみせたが、本当は初めての一人の空間がたまらなく不安になる瞬間がある。そんな時は得意の寝ることで紛らわせていたのだった。
「そっか、ならいいけどさ。」
そう言ってけんじは微笑んだ。
「けんじ、来てくれてありがとう。」
いつもはプライドが邪魔して中々本音を言えないちはるだが、この時は素直になれた。ありがとう…私も会いたかった…その気持ちがちはるの心を満たしていた。
「ちはる……」
けんじの心も来てよかったという感情で満たされていった。二人は遅くまで明日どこにいこうか、何を食べたいかなど土日の予定を立て、楽しい気持ちで過ごした。しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎる……。
土曜日、一日中色々な場所で遊び回っていつの間にかもう夜だ。
「もう明日、帰っちゃうんだね…」
ちはるが悲しげな瞳でけんじに話す。
しかし、サプライズが用意されていた。
「フッフッフ…実は、月曜有給とっちゃったんだ♪だから帰るのはあさってv」
「ほ、ほんと!?」
「こんな嘘つかないよ。ちはるは月曜学校だから朝バイバイしなきゃいけないけど…」
それでも、ちはるは少しでもけんじがここに留まってくれることが嬉しかった。今までそれほど寂しいと思った事はなかったのに…と自分でも不思議に思う。
「よかった…嬉しいよv」
二人はまた口づけを交わし、長い夜が更けていった……。
日曜日、二人は時間を惜しむように朝早くから出かけ、一日を楽しんだ。そしてまた夜が来た……。
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