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校門からトンネルを造り、校舎までの白いコンクリートの道を淡い薄桃色に染める桜並木を潜り抜け、正面の時計棟の校舎の右側。
坂の下の五階建ての新館が、普通科(別名進学組)の校舎になる。
ぼくは、上の校舎へ伸びる長い神社のような階段を溜め息を付いて見上げていた。
「おはよう!君、何組?」
「おはよう!君、可愛いね!」
「あ~!?もしかしてモデルのつぼみじゃね?君も、ここ受けたんだ…。」
「おはよう!何やってるの?つぼみ。」
あ、元クラスメートの…!
「今日の健康診断。憂鬱で…。(身長が)逃げちゃおうかな…?とか、考えてた。」
「何、可愛いお子様みたいな事言ってるの。
こんなところでぼーっとしてると、一年生にナンパ…。」
「…もう、さっきからされまくり。
それで余計に落ち込んでいるところ…。」
一年生の時のように頭をなでなで…。それがさらに心に重石をかける。
「おはよう!君、一年生?
一緒にクラスまで行かない?」
ズーン…!!
「バカね!つぼみが落ち込む様なこと言わないの!」
えっ?どなた様?あ、クラスメート様。
「おはよう!つぼみ?あんた一年校舎に行く気?」
「あ…おはよう…。だってさあ~。教室にいても知らない奴らがナンパしてくるし…。もう、やだぁ!」
駄々っ子みたいになってるよね?ぼく。
「九郎義経は?」
「朝練。」
「ほら、進学組!しっかりつぼみを守ってよ!」
「ラジャー!」
と言って、クラスメートはぼくの腕を掴んで、二年生の教室へ向かった。
守られるぼくって、何~???
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