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車も充分に温まり。
し~ん~ん~シン…シン。
「「…静かになりましたね?」」
…!!??
静かになった暗闇のあちら側から異様な影が?
丸太を担いだ木こりさんと森の小さな小人さん?
「いえいえ…。
あれは、簀巻きにされたつぼみ君を肩に背負った太郎君と、
大きなゴミ袋を抱えた紅葉くんでしょ?」
明らかにどう見ても、不審者御一行様!?
こそこそと、簀巻きのつぼみを車の後ろにサッと積み込み…。
紅葉を手早く椅子に座らせようとしたけど、
「「ぼく、つぼみちゃん(師匠)がいいの!」」
と、簀巻きの布団柱に抱きついた。
「「まだ、臭ーい!」」
「ざっとヌルヌル取って、髪を洗っただけだからな。」
「それにしても、太郎君。簀巻きは酷くない?」
「だってさ、外すか?つぼみ。」
青い唇でフルフルと、つぼみは首を振った。
「冷蔵庫のお水寒かったの~。」
「裸足だし~。ブルブルなの~。」
「「あのあと。お水もう一本と、温かいお茶買ったんだよ。」」
「「…そりゃ、凍えるわ。」」
「あああの…く車出してもらえます?
急がないとぼく、ほほほんととにとと凍死しそう…。」
大きく溜め息を付き「うっ!」と、声を詰まらせてから、ワゴン車を走らせる凜さん。
「まるで、誘拐犯じゃない?
誰かに通報されたらどうしよう…。」
と嘆きつつ、ウインカーを右にだした。
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