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その日Demon'sではいつも以上に人が溢れ返り、賑わっていた。
今日はDemon'sのオーナーである真春の30才の誕生日パーティーが催され、お祝いに常連客だけでなく真春の個人的な友達も多く集まっていた。
「しかし…30にもなってパーティーって照れるよな」
当の本人は苦笑いしてグラスを持ちながら、カウンターに寄りかかっていた。
「まあまあ、みんな兄貴と会える口実が出来て喜んでるんだから、これも客へのサービスだよ」
と言いながら、臨時で手伝いに来てくれた人からカクテルを受け取って、弟の真雪はサッサと行ってしまった。
「そうだぞぉ!俺なんか滅多に会えんじゃないか!!」
いきなり豪快な声が聞こえて、真春はそちらに向く前に誰かわかって笑いながら寄りかかってたカウンターから離れた。
「お久し振りです」
手を差し出すと、ダンディーだがどこかガサツそうで暖かい笑顔をしたオッサンが、真春の手をムンズと掴んだ。
「何だ他人行儀だなあ」
「一応オーナーなもんで、自分の店では羽目を外せないんですよ」
「なーに言ってんだか。いつだって羽目なんて外さんじゃないか。今日は外してもらうぞー!!」
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