リング~大人の国のアリス~

3/17
前へ
/498ページ
次へ
 すると母親が何かピンッときたらしく、鈴歌の顔をマジマジと見つめるとニッコリと笑った。  「真春さんと何かあったんでしょ?」  「え?」  鈴歌はドキッとしたが、真春との約束でプロポーズの事はまだ話さない約束になっているので、誤魔化す事にした。  「別に何にもないよ」  「怪しいな?」  鈴歌の様子に鷹也までもが怪しみだして、妙な目つきで見ている。  「まさかお前、また別れるなんて言い出してるんじゃないだろうな?」  「そんな事もう言わないよ。それは絶対ないです」  「大した自信だ」  鈴歌はこれ以上兄と一緒に居るとボロが出そうだと思って、そうそうに引き上げる事にした。  お風呂に入って部屋に戻ると、鈴歌は真春に電話をした。  『もしもし?』  「ハルさん」  『どうしたんだ?』  鈴歌は何となくモジモジとしてベットに腰をかけた。  「うん…ちょっと声が聞きたくなって」  『そうか』  真春の低く甘い声の後ろから心地良いジャズが聞こえてきている。  「あのね、今週の土曜日咲月さんの親とうちの親が会食する事になって、私も出席してほしいって」  
/498ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1837人が本棚に入れています
本棚に追加