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そして、残っている皆が中山に向けて言う。
「今日は特別!サービス残業だからな!」
それを聞いた中山は涙をこぼしながら、笑顔ではいと答えた。
皆に挨拶をした俺は会社を後にする。
携帯を車に置きっぱなしだった事に気付き、走って戻る。
ダッシュボードに置かれた携帯を手に取り、メールを見る。
佐藤さんからだ。
お仕事頑張って下さいという内容だった。
最後のp.sの所で呆然とした。
『p.s 私、明日休みで特にする事もないので適当に駅の周りで時間潰してますので、終わったら連絡下さい。
遅くても、待ってます』
待ってます??ってマジかよ!!
俺は返事を返す事さえ忘れて、駅に急ぐ。
車を自宅の駐車場に置き、これ以上走れないと思う程急いで駅に向かった。
どこに彼女がいるか分からなかった俺はマックに入り、店内を見渡す・・・・・佐藤さんの姿はない。
後は・・・・・コンビニが目に入り、もしかして・・・・その勘は当たった。
雑誌を立ち読みする彼女を見つけ、ガラス窓を叩く。
俺に気付き、手を振る佐藤さん。
「お疲れ様でした」
コンビニから出て来た、彼女の一言に思わず、抱きしめてしまった。
「えっ?」
すぐに離れた俺。
「すいません!付き合ってもないのに抱きしめたりして。
何か、お疲れって言われたのがすごく嬉しくて。
それと今日はごめん。
こんなに待たせて」
「いえ。平気です。抱きしめられたのは驚きましたけど、相原さんは忘れ物を届けてくれた、大切な恩人ですから」
・・・・・恩人
そうだよな。大切な恩人か。当たり前だな。
何を期待していたんだろう・・・・
心の中でそう思いながら、口を開く。
「待たせた分。とことん付き合いますから」
「ホントですか~?その言葉忘れないで下さいね!」
居酒屋に入り、ビールを頼んだ。
「ところで相原さんって、いくつ何ですか?」
「俺は?25です」
「えっ!じゃあ、私と同い年ですね」
「タメ?そっかぁ~。タメか。
タメには見えないですね」
「それって、どういう意味ですか!?」
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