『幸せが壊れた日』 <回想>

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病院に着くと亮平が入口の前にいた。 「勇二さん。こっち」 亮平に案内され、病室に入る。 そこには泣き崩れた佳奈の母親。 佳奈を見つめる佳奈の父親。 佳奈の父親が俺に気付いた。 俺は初めて会った佳奈の両親に頭を下げ、佳奈のそばに行こうとする。 「お前は近づくな!!!」 「え?」 佳奈の父親にそう言われて驚いた。 「お前の事は佳奈から何となく聞いていたが、こんな風になった以上、佳奈の前から消えてくれ!」 佳奈の父親は俺を睨みつけ、胸倉を掴みながら言った。 「親父!落ち着けよ!勇二さんが悪いんじゃないんだから!」 亮平が間に入り、父親に話しをしている。 「亮平!お前は黙ってろ!そもそも、佳奈とお前が付き合ってなかったら、事故に遭わなくて済んだんだ!」 「親父・・・・」 亮平も何も言えず、その場に立ち尽くしていた。 俺は病室から閉め出された。 何も言い返す事が出来なかった。 その通りだと思ったから。 病院の外に出て、佳奈がいる病室を見ていた。 佳奈の状態はどうなのか。 それすら知らされず。 「勇二さん!」 「亮平」 亮平が駆け寄って、佳奈の事を説明してくれた。 「外傷は大した事ないみたいです。ただ・・・」 「そっか。よかった。ん?ただ?」 「よく分からないんだけど、事故の影響で昏睡状態になってるみたい」 「昏睡?て事は眠り続けてるって事?」 俺は話しを整理しながら、聞く。 「そうみたい。いつ目が覚めるか、医者にも分からないみたいで」 「そっか。ありがとうね。また佳奈に会いに来るから」 佳奈に会いたい。 その気持ちを抑えて、家に帰ろうとした。 「勇二さん!」 「何?」 亮平が俺に紙袋を渡す。 その袋は軽く汚れていた。 「これって・・・」 「そう。姉貴の持ち物の中に合ったんだ。多分、勇二さんにあげるつもりだったプレゼントだと思う」 「ありがとう」 俺は紙袋を抱え、家に帰った。
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