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目をつぶり、俺は佳奈の手を握ったまま、いつの間にか寝てしまった。
ずっとその間今までの事を思い出していた。
目を覚まし、佳奈の頭を撫でる。
俺はポケットから一枚の手紙を出す。
「佳奈に手紙を書いてみたよ。
初めて書いたから、緊張したけど聞いといてね」
『佳奈へ
今日であのクリスマスイウ゛から一年が経ったね。
この一年間、佳奈の顔を見る事で何とか頑張って来れたよ。
今まで色々な事があって、二人で過ごした日々は大切な思い出だよ。
佳奈が目を覚ますのがいつになるかは分からないけど、俺はいつまでもずっと佳奈のそばにいるから。
これから先、隣にいるのが佳奈以外には考えられないから、いつも隣を空けておくからね。
佳奈を好きになってよかった。
愛してるよ
勇二より』
手紙を読み、枕元に置いた。
手を握っていつまでもここにいたかった。
不意に寝ているはずの佳奈の目から涙が落ちた。
「え?佳奈・・・・?」
そう問い掛けると、ゆっくりと手を握り返した。
・・・・・!!!
俺は言葉にならなかった。
嘘だろ。まさか・・・・
「佳奈?佳奈?」
もう一度、問い掛ける。
すると、ゆっくりとまぶたが開き、俺を見て笑みを浮かべた。
目が覚めた!!!!
俺は急いでナースコールを押す。
「どうしました?」
「か、佳奈が目を覚ましたんです!!
早く来て下さい!!」
慌てた様子で先生と看護師がやって来た。
酸素マスクを外し、先生が問い掛ける。
「佐藤さん。分かりますか?」
「・・・・・は・・い」
怠そうな声で返事をする。
「信じられない。何で、目が覚めたんだ?」
先生と看護師が驚いていた。
「・・・勇・・二」
さっきよりも強く俺の手を握る。
「佳奈・・・」
俺は大粒の涙を流した。
ずっと佳奈の手を握り涙を流し続けた。
ゆっくりと起き上がろうとする佳奈を俺は支えた。
「・・のど・・渇・いた」
俺はお茶が入ってるペットボトルにストローを差し、佳奈に飲ませる。
「・・あり・がと」
その瞬間、抱きしめた。
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