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「へぇ~~。案外空いてるね~」
「そうなんですよ。
たまたま、通りから一本入ってみたら、ここを見つけて」
俺と中山はいかにも隠れ家的なパスタ店に入る。
席に着き、注文をする。
俺は「ミートソース」
中山は「カルボナーラ」
を注文した。
食事を進めながら、中山が口を開く。
「今度、彼の誕生日があるんですけどプレゼントに悩んでて、ありきたりな物は嫌で、相原さんだったらどうかな?って思いまして」
やっぱり、男の話だ。
中山のその言葉に答える。
「う~ん。ありきたり以外か~・・・・
ん?そうだ!プレゼントは形として残る方がいいの?それとも思い出に残る方がいい?」
「そうですね~。ホントは形に残る方がいいんですけど、思い出に残るプレゼントってありますか?」
「中山が自分で終わらせた、渋谷のフレンチの店に行くってのはどう?
あそこは雰囲気いいし、私がデザインした店なんだみたいな感じで」
「あ!そっかぁ~、そういうのもいいですね。
それでちょっとサプライズ的な要素も取り入れた喜んでくれますかね?」
「そうだね。あとは二人だけのオリジナルディナーを作ってもらうとかね」
中山の話を聞きながら、俺も彼女が欲しいなと密かに思っていた。
食事も終わり、会社に戻った俺と中山は仕事に戻る。
仕事をしながら他人事だけど、中山のサプライズの事を考えていた。
生まれた年のワインっていいな。そう思った俺は中山にメールを送る。
返事はまるでそこから大声で聞こえてきそうな『ありがとうございます』だった。
そのメールに軽く笑ってしまう。
後輩には幸せになって欲しいからなと願っていた。
PM5:00
一通りの仕事を終えた皆は帰る。
残業をする者を残して。
俺もいつもは残業組というか、今日の仕事は今日中に終わらせるのがモットーで帰りは皆より遅いいが今日はこの彼女の忘れ物を届ける為、定時で帰る。
『お疲れした~~』
『お先に失礼します』
『お疲れ様でした』
その声と共に俺も声を掛け会社を出る。
「お疲れ~」
「あれ?相原さん、今日は定時上がりですか?」
「ちょい、用事があってな。お先に」
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