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小さな町のはずれの方に、大きな森がありました。その森のなかには湖がありました。そこには渡り鳥がたくさん住んでいました。
そして、ある渡り鳥から卵が生まれました。
その親鳥の名はオキザリス。
たいへんキレイな鳥でした。
そう若い頃は、彼女の周りにはオス鳥達が群がり、彼女をよく口説いたものです。
絶世の美女オキザリスから、5つの卵が生まれたのです。
その卵はなんと、みたこともない美しさと鮮やかな色でした。
この渡り鳥からは生まれそうにもない卵だったのです。
あるものがこう言いました。
「きっと、幸せを呼ぶ卵だわ。」
また、あるものはこう言いました。
「こんなにも不吉なことはない。」
オキザリスはその卵を人里離れた、小さな湖の近くで育てることにしました。
この湖は水もきれいで、湖の周りにはたくさんの木がありました。
木々も青々としていて、静かに暮らすにはもってこいの場所でした。
そう、このような不思議な卵を育てるには最適な場所だったのです。
鳥類は人間に近い動物です。
鳥類の中には夫婦で共同して雛を育てるものが多いのですから。この渡り鳥もその例外ではありません。本来なら父鳥が共同して育てるのです。しかし、この不思議な卵の父鳥は行方をくらましていたのです。
それでも、オキザリスは、しっかりとこの卵をかえし、立派に育てようと決心していました。
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