不思議な卵

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オキザリスは、湖から少し離れた、木に巣をつくりました。 そして、卵を大事にその巣の上に乗せました。 それから湖へ行き、できるだけたくさん餌を食べ、すぐに巣に戻り、卵を温め始めました。   卵を温めてから、7日目の夜のことでした。 1つの卵がピクリと動きました。   「まあ、なんて元気のいい子なのでしょう。早く生まれてきて下さいね。」 オキザリスはうれしそうに言いました。   すると、その優しい声が聞こえたのか、他の4つの卵も動きました。   「あと少し、お母さんも頑張るわね。」 オキザリスは空腹に耐えながら、それでも優しく卵達にささやきました。   本当なら、父鳥と母鳥が交互に卵を温め、片方が卵を温めている間、もう一方が餌を食べに行くのですが、オキザリスには夫というべきものが行方をくらましているため、それができなかったのです。   「こんな時、あの人がいてくれたら・・・」 オキザリスは悲しげに呟きました。   すると、オキザリスを励ますように卵達が動きました。   「きっと、あなた達はやさしい子に育つに違いないわ」 オキザリスはそのかわいらしい卵達に励まされ、なんとか頑張ることができました。   10日目の朝のことでした。 オキザリスは空腹に耐えかねていました。我も忘れるぐらいの辛さでした。   せめて、水だけでもあればいいのですが、もう湖まで行ける力も残っていませんでした。   「いまここで、倒れるわけにはいかないわ。あと少し、あと少しなのだから。」 オキザリスは必死に自分を説得しました。
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