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ついこの間まで、冬のコートが手放せなかったのが嘘の様に暖かい。
見知らぬ駅に降り立った不安も、柔らかな春の日差しが和ませてくれる気がした。
「勝手にこんな事をして あの人は怒るかしら?」
鈴音は 何かする時はいつも彼に相談していた。
それがもう鈴音の中で答えが決まっている事でも、彼は鈴音の満足行く答えを簡単に出してくれる。
だが 今回は全く相談しなかった。
というより、気づかれない様に細心の注意をしていた。
彼を驚かせたいと言う気持ちは当然あったが、それ以上に止められるのでは?という不安が消えなかった。
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