5/7
前へ
/156ページ
次へ
前髪を揺らす風が潮の薫りを運んでくる。 目を閉じ、深く息を吸い込むと、身体の中に潮の薫りが流れ込み、大きな海に抱かれているようで安心する。 フェリー乗り場が見える。 あの船にあの人も乗った事があるのだろうか? 土地勘も無ければ、行く宛もない。 ここが彼が言っていた港なら、彼の家はすぐそばのはず。 平日の静かな午後。 すれ違う人達の足取りものんびりしている。 確か近くに砂浜があるはず。 もう少し辺りを歩いてみる事にした。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加