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前髪を揺らす風が潮の薫りを運んでくる。
目を閉じ、深く息を吸い込むと、身体の中に潮の薫りが流れ込み、大きな海に抱かれているようで安心する。
フェリー乗り場が見える。
あの船にあの人も乗った事があるのだろうか?
土地勘も無ければ、行く宛もない。
ここが彼が言っていた港なら、彼の家はすぐそばのはず。
平日の静かな午後。
すれ違う人達の足取りものんびりしている。
確か近くに砂浜があるはず。
もう少し辺りを歩いてみる事にした。
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