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天気予報では晴れのはずなのに、朝から厚い雲に覆われていた空から、わずかにしずくが落ちてくる。 「早く片付けないと荷物が濡れてしまう」 作業着のポケットからタバコとライター、それに携帯電話を倉庫の机に乱暴に投げ出し、浩平は手際よく、並んだ荷物をトラックの荷台に積み上げる。 「全く、納期さえ指定すれば絶対に品物が入ると思ってるんですかね?今日の今日なんて無茶ですよね。」 降り出した雨に舌打ちをしながら、河本は荷台の荷物を整然と並べる。 「この不況だ。少々の無理でもお客さんの言う事は聞かなきゃね。河本君は良くやってくれるから助かってるよ。」 浩平も心中は河本と同じだが、立場上、彼と同調して不平を言うわけにも行かない。 「こんな小さな会社で、給料も大して払えないのに、一生懸命働いてもらって感謝してる。」 河本に言った言葉は本心だ。 まだ若いが、彼の仕事ぶりを見ていれば、他の大きな会社でも十分に通用するはずだった。 「専務に言われたら文句言えないですね。さっさと片付けましょう。」 河本は、おどける様にガッツポーズをして見せた。
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