絶望の戦場

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〈ーーらーーー。わーーーでーー、弾もーーーへーーー〉 ひどいノイズと一緒に途切れ途切れに聞こえる味方の通信。 敵の首都を目前に戦闘を開始した多くの兵士達、作戦開始の合図とともに、敵の強力なECMで通信が不可能になり、16時間が過ぎた。 いったいどれだけの味方が残っていることだろう?。 地面が火を吹き、見た事も無い兵器の軍隊が現われた…。 その兵器は、TIGER戦車を3輛重ねたぐらい高かかった。 6本の足を持ち背中にはいまだに煙が出ている一本の銃身が覗いている。その横には、一発でも当れば致命傷になりかねない、大口径のガトリングが付いていた。 カメラなのか、鈍く光るレンズが世話しなく回転している。 見ているだけで、恐怖心を煽られ、足が竦みそうになる。 そして蹂躙が始まった。逃げ惑う兵士がいくら弾を撃っても移動の妨害にもならず、RPGを打ち込んでも、動きが若干止まるだけで、ダメージは無いよだった。戦闘機によるミサイル攻撃もチャフで回避され、戦車の主砲もRPGと同じ結果だった。 ただ一方的に暴力を振るわれ、なす統べなく死んで逝く仲間達…。 わずかな希望で戦車による体当りをしても、軽く避けられ踏みつぶされる。 日が墜ちても蹂躙は止まらなかった。 否、止まる事を知らなかった。 赤外線カメラを付けているのだろう、岩陰に隠れていても見つかり撃ち殺される。 そうやって、敵は1日で攻守を逆転させた…。
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