憎しみの唄

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自暴自棄なままでいたら、 恐怖なんてなかったのかな。 傷に傷を重ねれば、 常に血が流れてる。 瘡蓋の痛みや痒み、 治るまでの間がイチバン辛い。 耐えられなくて掻く。 そしたらまた血が流れる。 流れている間はその痛みだけ。 その痛みだけに耐えればいい。 血を流す事をやめたら、 沢山のモノたちが私を襲う。 沢山の瘡蓋が 沢山の傷痕に微笑みかける。 ねぇ、何で我慢してるの? ほら、辛いんでしょ? 大丈夫だよ。 こっちにおいで。 血の涙を流していいんだよ。 瘡蓋と傷口 瘡蓋を思い切り剥がして 傷口を思い切り開いて そしたらもう、 辛い思いはしなくていい。 ひとつの痛みだけに 耐え続ければいい。 どうせ、 沢山の痛みには耐えられないんだから。
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