第十八章-旅の記憶-

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「誰だ」 リクが多少威厳の籠った声で言うと、扉から若い男の声が返ってきた。 「俺です。判りますか?」 「ん……?」 その声に、リクは聞き覚えがあった。だが、それが誰だかは分からなかった。 「すまない、聞き覚えはあるが、忘れた。 良いから入ってきてくれ」 「分かりました。では、失礼します」 そう言って入ってきたのは、四本の純白の剣を帯びた黄土色の長い髪の長身の男。 名を、ゲーム=リークハルトという。 「カイルスト先生……?」 だが、リクはそれとは違う名を発した。 その目は驚きと疑問で見開かれている。 「お久しぶりです。学院長先生」 そんな様子にお構い無く、ゲームはいつもとは違う雰囲気を醸し出し、軽く会釈した。 「けど、今はその名じゃありません。 今の名はゲーム=リークハルト。七人ノ騎士(セブンナイツ)が一、白ノ騎士(ホワイトナイツ)です」 そう言って、その称号たる剣をモチーフにしたペンダントをベルトから外し、差し出す。 「ああ……そうか。そうだな。 だが、何故ここに居るんだ?」 「何も聞いていないので……?」 「あぁ」 「……分かりました。色々と説明しましょう。 良いか?クロス=ダーウィン」 「……構いません」 いつの間にか部屋に入ってきていたクロスがそう答えた。 「……こっちも良いか?」 一方で、リクもそう教員達も尋ねていた。 「本来なら駄目なんですが……ホワイトナイツ様が言うのであれば、宜しいでしょう。 それと、その話は、我々は退室した方が……?」 「そうしてくれると助かる」 「了解しました。では、宜しくお願い致します」 「あぁ」 ゲームが頷くと、教員達はぞろぞろと部屋を出、代わりにユリが入ってきた。 「ゲームさん、それなら私も手伝いましょうか?」 「ユリ……!?」 そう言ったのはリク。 そしてようやく視線をクロスに向け、クロスがさっき見ていた編入生だと気付いた。 「いや、良い。それより何故ここに居るんだ? もう休めと言った筈だが……」 そう、他のメンツは既にここには居ない。 ゲームが必要ない、と部屋に戻らせていた。 「気にしないで下さい」 「そうそう、細けーコト気にしてたら負けだッつーハナシ」 いつの間にか、クラウンもユリの隣に居た。 「ハァ」 「いいから早く説明してくれ。 さっきから何が何だか……全く訳が分からない」 そう言ったのは、勿論リクだ。
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