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「誰だ」
リクが多少威厳の籠った声で言うと、扉から若い男の声が返ってきた。
「俺です。判りますか?」
「ん……?」
その声に、リクは聞き覚えがあった。だが、それが誰だかは分からなかった。
「すまない、聞き覚えはあるが、忘れた。
良いから入ってきてくれ」
「分かりました。では、失礼します」
そう言って入ってきたのは、四本の純白の剣を帯びた黄土色の長い髪の長身の男。
名を、ゲーム=リークハルトという。
「カイルスト先生……?」
だが、リクはそれとは違う名を発した。
その目は驚きと疑問で見開かれている。
「お久しぶりです。学院長先生」
そんな様子にお構い無く、ゲームはいつもとは違う雰囲気を醸し出し、軽く会釈した。
「けど、今はその名じゃありません。
今の名はゲーム=リークハルト。七人ノ騎士(セブンナイツ)が一、白ノ騎士(ホワイトナイツ)です」
そう言って、その称号たる剣をモチーフにしたペンダントをベルトから外し、差し出す。
「ああ……そうか。そうだな。
だが、何故ここに居るんだ?」
「何も聞いていないので……?」
「あぁ」
「……分かりました。色々と説明しましょう。
良いか?クロス=ダーウィン」
「……構いません」
いつの間にか部屋に入ってきていたクロスがそう答えた。
「……こっちも良いか?」
一方で、リクもそう教員達も尋ねていた。
「本来なら駄目なんですが……ホワイトナイツ様が言うのであれば、宜しいでしょう。
それと、その話は、我々は退室した方が……?」
「そうしてくれると助かる」
「了解しました。では、宜しくお願い致します」
「あぁ」
ゲームが頷くと、教員達はぞろぞろと部屋を出、代わりにユリが入ってきた。
「ゲームさん、それなら私も手伝いましょうか?」
「ユリ……!?」
そう言ったのはリク。
そしてようやく視線をクロスに向け、クロスがさっき見ていた編入生だと気付いた。
「いや、良い。それより何故ここに居るんだ?
もう休めと言った筈だが……」
そう、他のメンツは既にここには居ない。
ゲームが必要ない、と部屋に戻らせていた。
「気にしないで下さい」
「そうそう、細けーコト気にしてたら負けだッつーハナシ」
いつの間にか、クラウンもユリの隣に居た。
「ハァ」
「いいから早く説明してくれ。
さっきから何が何だか……全く訳が分からない」
そう言ったのは、勿論リクだ。
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