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「こ、これが紀伊家の軍勢なんですか・・・!?」
「なんだか、本とかテレビで見たナポレオン戦争の時代の軍勢みたい・・・」
羽柴軍と北国軍の決戦が始まる前日、悠馬と絢は紀伊義明に連れられ、近江・坂本にやって来ていた。
2人はそこで、思いがけない光景を目にしていた。
坂本郊外の平原に集結した紀伊家の大軍勢は500名の大隊単位で整列し、その周りには車輪を付けられた野砲を引く馬が何百頭も並び、兵糧・弾薬などの物資を運ぶ馬車も見られた。
その数は平原を埋め尽くすほどだった。
「わしも、我が軍勢がこれほど集結するのは久々に見たわ。
胸の高まりが抑えられぬ思いじゃ」
悠馬と絢の側にいた義明も、自らの軍勢に感嘆の表情を浮かべていた。
「兄上は国の政ばかりで、軍事は全てわしに任せてばかりいたからのう」
3人が、紀伊軍が集結している平原を見渡していると、義明の弟・右大将義永がやって来た。
「数馬。ようやく参ったか。
悠馬、絢姫、こやつが我が弟の数馬丞義永じゃ」
悠馬と絢を初めて見る義永は、懐かしい人を見るような目で2人を見たのだった。
「ほう・・・そなたらが、あの者らの息子と娘か。
うむ・・・確かに、どことのう面影があるのう。
わしは紀伊数馬丞義永と申す。
今は従二位右近衛大将の職にある故、右大将と耳にしたら、わしのことじゃ」
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