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義明、義永らは出撃前の作戦会議(軍儀)を始めたため、悠馬と絢は琴乃と共に、琵琶湖の湖畔の砂浜にやって来ていた。
「昔の琵琶湖はけっこうきれいだったんだね~。
それに砂浜もあたしたちの時代より多いし」
絢は砂浜に何やら字を書きながら、思わず自分たちの世界の琵琶湖と目の前に広がる琵琶湖を比べていた。
「なあ琴乃。
この世界の馬って、琴乃が生まれた時から、あれくらいの大きさだったのか?」
悠馬の言葉に絢も、思い出したように声を上げた。
「あ!あたしもそれ気になってたの!」
「わたくしは物心付いた時より、あのような馬を見てきましたが・・・。
あ、でも父上が昔、『昔の馬はもっと背が低く乗りやすかった』と口にしていたのを聞いたことがございます」
「そっか・・・武器だけじゃなく、馬も変わってるんだ・・・」
「サラブレットじゃ無いにしても、アラブに近い種類みたいだし。
俺たちは乗り慣れてる大きさだったから、最初は気が付かなかったけどさ・・・」
その時だった。
悠馬たちがいた砂浜の沖に浮かんでいた1艘の小船に乗っていた漁師らしき男が、漁具に混じって隠していた弓矢を手に取ると、素早く絢に狙いを付けた。
「望月の姫君・・・その命、頂く・・・」
刺客は、そう呟くとためらわず矢を放った。
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