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っ・・・痛って~。
あ・・・俺、絢をかばって、矢に当たったんだっけ・・・。
どこだろ、ここ?
悠馬は背中の痛みで目が覚め、自分がいる場所を確認した。
「え・・・病院!?」
悠馬の視野に入ってきたのは、自分たちの本来の世界の、よくある病院の個室だった。
「戻ってきた・・・のか?」
ガチャ
悠馬が不思議な気分に捕われていると、病室のドアが開けられた。
「悠馬・・・
よかった・・・」
ドアを開けた、悠馬にとってその見慣れた顔の少女は、悠馬が寝ているベッドに駆け寄るなり、力が抜けたように膝を落とし、布団に顔を埋めた。
「絢・・・」
「・・・グスッ、グスッ、ごめんね、あたしがドジっちゃったから、悠馬が・・・」
「泣くなって、そういう時代に行ってたんだし。
そういや、俺らどうやって、こっちに?」
「・・・グスッ・・・あの後、すぐに琴乃たちと和歌山に戻って、あの洞窟から・・・。
それで、救急車呼んで、和歌山の病院に」
「そっか。
でも、俺を看た医者も、ビックリしただろうな~。
矢が刺さった患者が運ばれて来たんだし」
矢を受けて深い傷を負った患者とは思えないほど、悠馬は落ち着いていた。
「何、呑気なこと言ってるのよ。
それに義明様がすぐに衛生兵を呼んで、応急処置したから、こっちの病院には山で転んで、笹の竹が刺さったってことにしてあるし」
「へぇ~衛生兵までちゃんといるんだ。
そういや、琴乃たちは?」
「一旦、向こうに戻ってるよ。
あたしたちの荷物、置きっぱなしだから、持ってきてくれるって」
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