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悠馬は検査の結果、傷以外に異常は無く、傷の具合も全治3週間と診断され、翌日には退院許可が出た。
夜、悠馬の父・繁シゲルと絢の父・幸一コウチイが病院にやって来た。
「どうしたんだ、摩耶からは京都に行ったって聞いてたのに、何で葛城山で、今は和歌山の病院なんだ?」
息子の謎の行動に、繁はやや呆れ気味だった。
「葛城山か~。懐かしいな~。
俺らも昔・・・」
「おいっ・・・」
幸一は妙な懐かしぶりを見せたが、繁が制止した。
「ねえ、パパ。
戦国時代の和歌山の大名家ってわかる?」
「そりゃ、紀伊・・・」
「幸一っ!」
「父さん・・・紀伊義明って知ってる?」
悠馬の口から出た、思わぬ人物の名前に、繁だけでなく幸一も、思わず動揺した。
「ど、どうして、お前、その名前を・・・」
「絢、悠馬、お前たち、葛城山で何やってたんだ?」
幸一は悠馬と絢に、核心に迫るかのような問いかけをした。
「驚くかもしれないけど・・・」
「あの世界に・・・行ってたんだな?」
「・・・父さん」
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