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絢と琴乃が、繁からの‘贈り物’を手に取っていると、本堂の庭先に忠介が現れた。
「姫、第3軍、第5軍が間もなく賤ヶ岳に到着致します。
第1軍も本日、塩津浜に到着致しました」
「わかりました。兄上は今、どちらに?」
「直繁様の隊は安土を迂回し、木ノ本の前田殿の軍勢と合流し、北国軍の退路の監視と越前への進軍路の確保に当たっております。
義明様からの言伝で、姫も木ノ本に向かうようにとのことです」
「そうですか。忠介、馬を用意して下さい。
すぐに参ります」
「はっ」
「・・・ということですが、悠馬殿と絢様はいかがします?」
「もちろん!」
「防弾チョッキもあるから、前よりは安全だろ!」
「では参りましょう。
あ、着物はいかがします?」
琴乃に尋ねられたが、絢がボストンバッグからビニール袋を取り出しながら答えた。
「あたしたちは大丈夫!
自前で持ってきたから」
「絢、いつの間にそんなのを?」
「一昨日、三咲ミサキにアキバで買って送ってもらったの。
いろいろあるよ、イギリス、フランス、アメリカ、それにドイツ。
どれも18世紀、19世紀の軍服!」
三咲というのは、悠馬と絢と同じ大学のゼミの友達である。
ちなみに秋葉原のメイド喫茶でバイト中。
「あのアキバの姫、そんなルートも持ってたのか?」
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