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前日。
北国軍は羽柴軍を後一歩で破れるというところまで、激しい攻勢を加えていた。
「押せ~!我らの力、羽柴の者どもに見せ付けよ!」
勝家は太刀を高らかに掲げ、中陣で馬上から前線の将兵を鼓舞していた。
「張り切っておるな。
我らも負けてはおられぬぞ。
1番鉄砲隊、前へ!
放てっ~!」
勝家の陣からやや離れた右翼に布陣する佐々成政も、かつて織田軍精鋭鉄砲隊であった1000の鉄砲隊を駆使し、羽柴軍に打撃を与えていた。
「長槍隊、押し出せ~!」
佐々成政隊は、長槍隊で押し出しては退き、鉄砲隊で討ち取る、という王道とも言える戦術を確立させていた。
「羽柴勢最左翼より、新たな敵!
2列の単縦陣で我が軍の横に回り込もうとしています!」
成政の元へ、伝令兵が駆け付けてきた。
羽柴勢にはまだそんな余裕があったか・・・。
「敵の数は?」
「わずか500ほどにございます!」
「左様か。小一郎、いや官兵衛の策であろう。
羽柴の軍師・黒田官兵衛も、万策尽きたと見える。
鉄砲隊全隊、右翼へ!
いや、この佐々成政直々に官兵衛の最後の策、潰してくれるわ!
鉄砲隊、わしに続け!」
成政は自ら鉄砲隊1000を率いて、羽柴軍からの新手に銃口を向け、2列に並ばせた。
どういうことだ?
敵の旗指物が見えぬぞ。
「1番鉄砲隊、構え!
敵が突撃を加えてきたならば、一気に潰すぞ」
しかし、狙う標的は、佐々軍と同じように、500名が横一列の横縦陣に並び、大きく距離を開け、立て膝で構えた。
その距離は300メートル。
「向こうも鉄砲隊か・・・。
されど、あの見慣れぬ軍装は・・・
まさか、紀伊殿の!?」
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