賤ヶ岳に散る夢 ―決着―

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「くそっ!わずか500の兵に我らが押し戻されるとは・・・」 「秀吉は紀伊殿まで取り込んでいたのか・・・」 賤ヶ岳の本陣陣屋に戻ってきた佐久間盛政と柴田勝豊はうなだれるように椅子に力無く腰を落とした。 紀伊軍の一方的な銃撃を浴び、わずか1時間ほどで撤退を余儀なくされた北国軍は、殿軍を務めた金森長近が討死し、佐々成政は馬廻衆によって救出されるものの、銃撃によって左肩の骨が砕けるという重傷を負っていた。また成政配下の鉄砲隊も全滅し、突撃を加えた足軽衆も1000名余りが討ち取られていた。 小山田信成の紀伊軍1個歩兵大隊は佐々成政隊を後退させると、佐久間盛政隊に真横から3度の一斉射撃を浴びせ、手持ちの弾薬が少なくなったところで後退したのだった。 北国軍本陣に諸将が集まり始めた頃、重傷を負っていた成政も姿を見せた。 「内蔵助、お主、傷の具合は? まだ戦は無理であろう」 「そうじゃ、まだ休んでおれ!」
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