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一方、紀伊軍第3軍、第5軍が集結している塩津浜では、紀伊義永と永野知成が羽柴秀長と会っていた。
「此度の援軍、まこと助かりました。
右大将殿と紀伊守殿の助けが無くば、我らどうなっていたか・・・」
「いえいえ、我らは、筑前殿の求めで参ったまで。
友軍を助けるのは当然のことにございまする」
義永の寛大な言葉に、秀長はただ黙って、頭を下げるだけだった。
「秀長殿らはしばし、兵を休ませるのがよろしいかと存じまする。
今は我々が北国勢の相手を致しましょう」
知成の言葉に、負傷した多くの兵を見舞ってきたばかりの秀長は苦渋の表情を浮かべた。
「それがしが留守を預かっていながら、多くの兵を失い、傷を負わせてしまいました。
やはり、それがしには戦の才は無いと改めて身に染みました」
「秀長殿、何も武士とて、戦が全てとは限りませぬぞ。
人は自らが得意とする事を成せばよいと、それがしは思いまする。
いや、出過ぎたことを申しました。
では、我らはこれにて」
義永と知成は、一礼して秀長の陣屋を出た。
そして入れ代わるように黒田官兵衛が入ってきた。
「小一郎殿、ただ今、右大将殿と紀伊守殿の軍勢を見てきましたが・・・これは、紀伊殿に謀られましたぞ」
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