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秀長は官兵衛に急かされ、塩津浜の羽柴軍陣地から北に10キロ離れた位置に駐留する紀伊軍が見える丘に向かった。
「こ、これは・・・。
紀伊家はこれほどの数の軍勢を・・・」
「殿は紀伊家からの援軍は2万ほどと申しておりましたが、ここに集結しておるだけでも、10万を超えておりまする。
また、配下の忍に調べさせたところによりますると、坂本から紀伊殿も軍勢を率いて向かってきており、その数もおよそ4万とのことです。
これでは、この戦、我らが先陣で、紀伊勢が本隊でございまする・・・」
「・・・されど、今の我らは今一度、北国勢と戦出来る状態ではない。
右大将殿が北国勢の相手をすると申しておるのだ。我らにとっても、その方が得策であろう」
「いや・・・左様でございますな。
では我らは、深手を負った兵のみを坂本に戻し、戦の動向を見守ると致しましょう。
全軍が退いてしまっては、全ての武功が持っていかれますからな」
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