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「されど、紀伊義明という男、1万3000もの大軍を譜代の家臣でもない長政に預けるとは。
無謀と言うか、器が大きいと申しましょうか・・・」
「何にせよ、10万を超える大軍勢を持ち、援軍として送り込まれるのじゃ。
我らの天下取りは、紀伊殿を頼るのも賢明であろう」
「申し上げます!
紀伊左大将様、約4万の軍勢を率いてお着きになられました。
また、左大将様と供に、秀吉様もお帰りになられました!」
伝令兵からの報告に、秀長と官兵衛は安堵の表情を浮かべた。
「殿がようやく戻られたか。
ただちに殿と紀伊殿を本陣に案内致せ」
秀長と官兵衛が本陣に戻ると、すでに秀吉が上座の席にいて、その隣に義明がいた。
また、石田佐吉、福島市松、大谷紀之介、加藤虎之助らの小姓も、下座にいた。
「兄上、美濃での勝ち戦、お喜び申し上げまする!」
秀長の言葉に、秀吉は苦笑いしながら、返事をした。
「小一郎、初めての総大将、いかがじゃった?」
「はっ・・・北国勢を打ち破るに至らず、多くの兵を失ったこと・・・まことに申し訳ございません」
「まあ、過ぎたことは仕方なぎゃ!
賤ヶ岳で権六を討ち取ればええだけの話しじゃ。わしは明日、紀伊殿と共に出陣する!
秀長と官兵衛は坂本から長吉が到着するのを待ち、後から来るんじゃ」
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