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「・・・では、椿、忠介、お願い致します」
「「はっ」」
椿と忠介はそれぞれの槍と太刀を手にすると、茂みから飛び出した。
忠介は茂みから飛び出すと同時に、一番近い敵兵を一撃で串刺しにし、後ろから槍を構えて襲い掛かった敵兵には太刀を抜いて斬り捨てた。
茂みの中から見守っていた悠馬と絢は、その一瞬の出来事に呆気に取られた。
「おいっ!まだ茂みの中にいるぞ!
弓兵!」
1人の北国軍の兵の言葉に琴乃が「しまった」という表情を浮かべた。
「やはり気付かれましたか。
悠馬殿、絢様、わたくしの合図で茂みから出ますよ」
琴乃は2人に告げると、矢を掴み、弓の弦に当てて構えた。
「うん、わかった」
悠馬と絢も拳銃の安全装置を解除し、ハンマーを起こした。
「まさか、ホントに人に向けて撃つ時が来るなんてな~」
「撃つしかないだろ。
じゃなきゃ俺たちが殺される」
「今です!」
琴乃は合図と共に矢を放った。
茂みから出た悠馬と絢は、斬り掛かってきた敵兵に拳銃を向けた。
くっ・・・指が震えて引き金が・・・
悠馬の脳は、トリガーを引けと信号を出していたが、その不思議な感覚に右手人差し指が上手く動かなかった。
「悠馬!危ない!」
キューン
絢の声とともにサイレンサーを取り付けたP220から独特の銃声が鳴り響いた。
悠馬に斬り掛かろうとした敵兵は右胸から血を流して倒れた。
撃ったのは絢だった。
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