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「へ?」
俺は後ろ手に握り締めていた小包を前に突き出す。
「これ、受け取ってくれ」
「えっ……いや、でもアレは義理チョコだし。そんなお返しを貰うつもりであげたわけじゃ」
「知ってる」
何しろ、鈍感なコイツはクラスみんなに配っていたのだから。
「じゃあ、受け取れな――」
「俺は!」
俺の真剣な顔を見て、晴海は驚いたようだった。
俺は知らず手のひらを握り締めていた。
「俺は……お前のことが好きなんだ」
晴海の顔を見るのが怖くて、無意識のうちにうつむく。
「元気なお前が好きで、強情でわがままなお前が好きで、つよがりで寂しがりやなお前が好きなんだ。お前のことが大好きで、だから俺はお前の一番になりたくて、だから……」
気持ちだけが先走って、口が回らない。言いたいことがまとまらない。俺は途中で泣きそうになって、さらにうつむいた。
「これを渡して告白すると決めたんだ。晴海、俺とずっと一緒にいてほしい」
俺の人生初の告白は、とても不恰好なものだった。相手の顔すらろくに見れない。
「…………」
晴海は何も言わず立ち尽くしている。俺は不安になって顔をあげた。
晴海は泣いていた。
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