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「ばっ、バカ野郎。泣いてなんかねーよ」
俺は急いで晴海から身体を離して涙を拭き、つよがってみる。
「ふふん。そんなこと言っても私見たもんね」
晴海が得意そうに胸を張る。
それは心底嬉しそうに。
あぁ、もし俺の涙がコイツの笑みを作ったのなら、俺はいくらでも泣いてやれるな、とそう思った。
でも、ほんの少し悔しくて。だから意地悪を言ってみた。
「お前も思いっきり泣いてたじゃん。それはもう赤ん坊のようにぎゃあぎゃあと」
「泣いてないもん!」
晴海は顔を真っ赤にして怒る。
「はは、冗談だって」
「……っ!」
それを言われて、晴海はまた顔を赤くする。トマトみたいだなって言ったら、また怒るかな。
「もういい!帰る!」
俺があまりにも笑い続けるので、晴海は本当に怒ったみたいだった。
「ごめん。ごめんってば!」
「……ぷっ」
「あっ、お前今笑っただろ!演技だったな!?」
そして俺達は二人で笑いあった。
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