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「そういえばこの包みって何なの?」
帰り道、晴海に尋ねられた。
「ん?ホワイトチョコレート」
「ええっ!?」
「だって、ホワイトデーだしさ」
「普通クッキーかマシュマロでしょ!?まあ、いいけどさ。それと、何かカードもってなかった?」
「えっ?いや、あれはさ。もういらないから」
俺はギクッとして、咄嗟にポケットに手をつっこんだ。
「ちょっと、何それ?気になるじゃない。見せなさいよ!」
晴海は俺のポケットからメッセージカードを奪おうとする。
それから、必死になって俺は逃げる。
「マジでこればっかりは勘弁してくれ!」
「ダメ!」
傾いた太陽から、赤色の夕焼けが差し込んでいる。
日が暮れていっても、俺達の心は明るいままだった。
『晴海へ
さっき言ったことは全部冗談。
中身もホワイトチョコレートだしね。
気にしないでこれ食べてさっさと忘れちゃってくれ。
祐樹より』
もし俺が振られていたら。
彼女は何も悪くないのに、きっと自分自身を責めてしまう。
俺のせいで彼女の笑顔が曇ることに耐えられ無いから・・・。
悲しむのは、俺一人で充分だから。
って言ったら、キザ過ぎるかな?
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