愛しき待ち人

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「母さま、あれは何?」   “今の”持ち主の子供が私を指差してきた。 奇麗な栗色の髪 奇麗な茶色の目 奇麗な顔立ち 汚れを知らない奇麗な手 見ているだけでも羨ましい。   「あれは、人形よ、ジャック。」 「人形?」 「人の姿をまねてつくったもの、作り物よ。」 「生きてないの?」 「そうね、でも、思いが込められていたらそのうち動きだすかもしれないけどね。」 「思い?」 「好きな人を似せて造ったり.....。」 「ふぅん、じゃぁ、この人形さんもそうかな?誰かに似せて造られたのかな?」 「さぁ....お人形さんに聞いてみたら教えてくれるかもよ?」   他愛のない話が続く。   私は彼の最後の作品。 だから、今までの人形より込める思いが違うかもしれない。 わからないのが悔しい。   「お人形さん、お人形さんは、なんで造られたの?」   ジャックという子が私に話し掛けてきた。 奇麗な茶色の目をキラキラ輝かせて。   「ねぇ、なんで?」 「ジャック.....聞いても答えてくれないのに」 「お人形さん?」   まだ五歳くらいだろうか、背もないし、その割に好奇心だけは有り余っている。    
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